1所2題
豊橋市美術博物館
モーリス・ユトリロ展
エコールドパリの時代の人。エコールドパリで唯一のフランス人とも、エコールドパリには数えないとも諸説ある。
一番、興味があったのは、佐伯や荻須との作風の差異。なんていうの照準は同じものにあたっているのに、トリガーの弾き方が全く異なる。
佐伯や荻須は「描きなぐる」というのが目立つのに対して、ユトリロは静謐。神経質な細やかさが比較的目立つ。しかし、油絵の描点の荒さは、やはり驚かされる。遠目では、ちゃんとした枝振りなのに、筆致は一筆書きなんだよね。
音声ガイドについては稿を改めよう。
豊橋市美術博物館
葦毛湿原展
湿原だけに、こだわるのではなくて、その周辺、里山や針葉樹林帯に、まで焦点を当て、縄文の狩猟採集の時代から、窯業など人の関わりにも焦点をあてている。さらに自然、昆虫や草花にいたるまで、1種、常設展の葦毛湿原版なんだよね。
豊橋市美術博物館
愛知県指定天然記念物
「葦毛湿原展」
-里山の多様な生物と人間-
20101009~1107
豊橋市美術博物館
-パリを愛した孤独の画家-
モーリス・ユトリロ展
20101022~1205
20101031
『モース・ユトリロ』 カセットミュージアム 音声ガイド解説作品一覧附 所要:35分
*複数の音声ガイドの制作会社があるのは、画一的なコンテンツになることを防ぐのには欠かすことのできない要件だろう。しかし、インターフェースとしての音声ガイドとしての要件と言うことも考えないといけない。例えば「以上です」というか「次へどうぞ」とか「ピーン」でも、微妙なノイズや言い切りの微妙な間合いでもいいのだが、終了を明確にする事などは通底する課題だろう。
*音声ガイドの作家はツイッターやれよ! 多くの情報・蘊蓄をつめこみたいのは解るし、その情報の多くが未知のものである。しかし、こういう風に「伝えたい」を前面に長々と書くのと、140字に、つめれるだけつめるという書き方では、言葉の選び方から違ってくる。また、つぶやきごとのつながりも考えるようになる。「この話の次は、あの話題」的なつながりで文章は作られている。
2010年10月24日
2題+2題
大阪市立美術館
住吉さん
住吉大社の御神宝はもちろんのこと。歌枕としての住吉、和歌神としての住吉。そして奈良絵本、御伽草子などの文学に取材される住吉。と立体的に住吉大社が展開している。
ふと気づいたが、住吉大社は東を背にして建っている。海神であれば海を背に西を背にするのが普通に思うが、陸へ上がって振り仰ぐと神様の御前という図式である。そういえば鎌倉の若宮八幡もそうなのだが、北を背にするのと東を背にするのでは感じ方が違う。たいてい、北か西を背にしているように感じる。あるいは、東国に対する遙拝所なのでは? とか考えてしまう。厳密にどの程度の範囲が住の江で難波津とは弁別できるのかはよく解らないが、生駒山麓の草香江と呼ばれるあたりから、難波の堀江、住の江のあたりまで、古墳時代後期に開発・整備された港湾なのではないだろうか? そう考えた時に、中世的な〈日本紀〉や『御伽草子』とは異質な、古墳時代の住吉というものが立ち現れてくるのかもしれないとも思う。
神功皇后の海外遠征は、海外遠征したかった当時の政権の欲求の表れとかね。
奈良国立博物館
正倉院展
まあ、いつも思うが、すごい人。なんていうの正倉院なんて、スゴいのが当たり前で、逆に例えばMIHO MUSEUMのユーラシア・中国の収蔵品は、それに匹敵するくらいスゴいんだけど、集客率考えて疑問符がつく。(まあ奈良博の展示関係者が「それでも正倉院はスゴい」というのは当たり前だし、その自負がなければ展示もうまいこといかないのは当たり前なのだが)
旭山が何人で、それに追随して行動展示を始めた動物園が何人。それって、もうすでにブランドイメーヂしか集客に寄与していないのと同じなんだよね。
日本の国民性と経営というのは、そういう難しさがある。一番乗りして「スゴい」を植え付けた人が価値的な。そして、隣の芝生は青い以上に、足下のモノを「たいしたことない」と思いすぎる。
渥美の大アラコ窯行った時に、その前に皿焼窯に立ち寄ったから「ここが遺跡でさ」なんていっても、納得してくれないの。考古学かじれば、何でもない畑の下に遺跡があるのはある意味常識で、原状回復したんだなくらいの話でしかない。
えっと、なんだったっけ? そうそう、だから、博物館経営には、たぶん伸びシロがあるんだよ、という話。
なら仏像館
そうか『東大寺展』で優品が結構出払ってるのか? ムダに期待したらしく、思ったようにピンとこない。だから、その「ピンとこなさ」が最大の特徴なんだと思う。年代順に並べたわけでも、ヒエラルキーに沿ったわけでも、群像論的に何かを説明しようとしているわけでもない。逆に、これらの手法は、もう出尽くしたのかもしれない。尊像に対するイコノグラフ、ウンチクは、逆に観覧者側にあふれているのではないか? そうした時に、もうそこには、一体でも多くの見応えのある尊像を配置すればいいだけなのだ。そう考えた時に、確かに、そこには優れた仏像のコレクションが厳然とあるのだ。
興福寺国宝館
新装してからはじめてになる。十大弟子と八部衆をメインに押し出した展示。仏頭の前で小声で「カトウトキコ」と言うのが、お作法なのだがさすがに恥ずかしくて言えなかった。阿修羅に痛々しいくらいにライトが当たっているのだが、ガラスケースの中ではない阿修羅ははじめて見る。あんなに展示1つで変化するとは思わなかった。もう1点お気に入りをあげるとすれば、千手観音の左隣にいた帝釈天。すっくと立つ姿が高潔な感じがして気に入ってしまった。「ああアレね」と思い当たらない人は、一度足を運ばれてみては? 東金堂の文殊菩薩も、いい仏像だよね、今回は見なかったけど。
大阪市立美術館
住吉さん ~ 住吉大社1800年の歴史と美術~
20101009~1128
奈良国立博物館
特別展 第62回
正倉院展
20101023~1111
http://www.yomiuri.co.jp/shosoin/
20101024
『住吉さん』 カセットミュージアム 音声ガイド解説作品一覧附
*展示順と音声ガイドの順番が違っていてもいいし、展示替えのある作品を音声ガイドが取り上げるのもかまわない。しかし、ダブルでくると、どれを聞いて、どれを聞いていないかを見失う。
*展示替えの作品は、作品一覧などで期間の網かけなどの工夫はできないだろうか?前期展のみ、後期展のみ、中間くらいのおおざっぱなものでも大変助かる。日付だけだと感覚としてつかみにくいところがある。
*どこの展覧会かは特定しないが、音声ガイド端末を館外に持ち出してしまった事例を見受けた。○○博物館のセキュリティーが甘い的な個別攻撃はしたくない。ガイド端末の管理するセクションでは年間何台、稼働率から考えて何割という端末の紛失データはあげられるだろう。館への入り口のもぎりか、展示室の出の警備員などが、確認・案内の強化はできないのだろうか?まあ、それでも出ちゃう時は出ちゃうんだけど。。。
『正倉院展』 A&Dオーディオガイド 音声ガイド作品リスト附 所要:約35分
*最近、耳が慣れたのか音声ガイドの終わり方に違和感を感じなかったが、久しぶりの違和感。文と文の間隔が微妙に長い。
*説明文が長すぎる。正倉院展は人が多いので展示品を見ずに音声ガイドを聞くだけの時間は極力避けたい。展示品の前に立ていられる時間と音声ガイドの時間が隔たらないのが理想だ。音声ガイドの特質、特点を表にするより、簡素、適切なワンフレーズ的な音声ガイドが他の展覧会とは違い求められるのではないか?
*音声ガイドと解説ボランティアの住み分けが問題になってくるよね。差別化というか区別化? 民業圧迫を避けるために、解説ボランティアも有料にしてはどうだろう? 過去数年の経験だが、ある程度の記憶力があれば、解説ボランティアの前に展示目録を入手して、目録にメモを取りながら、展示位置とすりあわせてながら解説を聞いて、現物に接するのが、正直、一番スマートに感じる。
*音声ガイドと解説ボランティアが併存する中での音声ガイドの優位点は待ち時間がないことだろう。
2010年10月23日
2題
滋賀県立近代美術館
白洲正子 神と仏、自然への祈り
白洲正子が日本の伝統の何をどのように評価したかが、近江を中心とした文化財の実際を見ていく中で立ち現れてくる展示。
音声ガイドは、イコノグラフはもちろん、白洲の見立てがすんなりと入ってくる。音声ガイド初心者にも入門として、とっかかりに適しているかもしれない。
図録が実験的。巡回展3ヶ所共通。目録に会場ごとの展示品の出品・不出品がわかる。1種、仏教美術・神道美術の到達点だね。その道の入門者は是非入手しておきたい1冊。
安土城考古博物館
室町最後の将軍-足利義昭と織田信長-
毎回、秋の展示は釈文には頭が下がる思いがする。
歴女にオススメの展示。義昭をキーワードに信長を取り巻く人物が、解りやすくまとめられている。
ドラマなんかでも、信長はあんな感じの人で、将軍という口実を使って上洛をはたす。古い権力の象徴としての義昭。そのキャラクタリゼーションがドラマの醍醐味そのものにはならないだろうか?
小説や読み物ではなく、史実としての史料と肖像画が立ち現す展示。
滋賀県立近代美術館
白洲正子
神と仏、自然への祈り
20101019~1121
http://www.nhk-p.co.jp/tenran/20100616_162822.html
安土城考古博物館
秋季特別展
室町最後の将軍-足利義昭と織田信長-
20101016~1114
20101023
『白洲正子』 A&Dオーディオガイド 音声ガイド作品リスト附 所要:約30分 ナレーション:真野響子氏
*参詣曼荼羅のような展示物のイコノグラフまで、きちんと説明されている。
*1回の説明の長さ、展示順などが整っていて、音声ガイド初心者にも耳なじみがいいと思われる。
*欲を言えば、白洲の文書に対する読み込みが、もっとダイナミックでもよかったのかもしれない。展示として白洲の文章は引用されているので、音声ガイドでは、その骨子、深みを解説できると、さらによかったかもしれない。
2010年10月10日
3題
大垣市守屋多々志美術館
特別展 平城京遷都1300年
飛鳥から奈良へ 守屋が描く大和まほろば
数年来、時々チラシで拝見していて、一度行ってみたかった場所。大きい作品も数点在るが、それ以上に守屋が奈良を訪れて行ったスケッチが、けっこうな量になる。スケッチと日本画、屏風、花の素描、扇面画といった所か。
歴史絵というのか? 取材の仕方が独特で幻想的な世界観がある。
大垣市スイトピアセンター アートギャラリー
百花繚乱 浮世絵美人画展
女の装い 江戸の華
守屋美術館で存在を知って、ちょっと、より道のつもりが、結構濃い内容。肉筆画が1室、あとはテーマを決めて美人図をまとめてある。
名古屋ボストンを見て、お変わりの人にはオススメ。来週までなので、こっちを先に見てというのもいいね。
プラネタリウムで「中国の星座」が、かかっていたらしい。時間の都合で見れなかったのが残念。こういうのを、ちゃんと企画できる所があるんだね。
一宮市博物館
特別展
木曽川をめぐる人と文化~川とともに生きる~
博物館にたどり着いたら、丁度、講演会の入りの時間で、講演会も聞くことができた。残りの2回は申込制なので公式の案内を確認してください。
企画展示室1室とエントランスだけの展示だが「ここの企画展示室ってこんなに広かったかな?」と錯覚するぐらい、ぎっしりと展示してある。自然、なりわい、信仰、描かれた木曽川と図録には章別けしてある。図録の約半分が寄稿文。
大垣市守屋多々志美術館
特別展 平城京遷都1300年
飛鳥から奈良へ 守屋が描く大和まほろば
20100903~1107
大垣市スイトピアセンター アートギャラリー
百花繚乱 浮世絵美人画展
女の装い 江戸の華
20100918~1017
一宮市博物館
特別展
木曽川をめぐる人と文化~川とともに生きる~
20101009~1121
記念講演会
木曽川をめぐる歴史と文化 松田之利氏
20101010(日) 午後2時~3時30分
2010年10月09日
テトラポット
名古屋開府400年記念関連の特別展(いわゆるミュージアムトライアングル)プラス1。
名古屋市博物館
変革のとき 桃山
展示は3部構成。天下人の空間、南蛮文化、工芸。それぞれ独立で1回の展覧会になりそうなくらいで、ボリュームが濃い。「桃山」というネーミングが前面に押し出されているが内容を見ると、まさに桃山。桃山と言われてもピンとこない人は、是非とも展覧会を見て、その入り口にだけでもふれて欲しい。逆に、アレがスゴいコレがスゴいと言ってしまうとネタバレになりそう。
常設展で木曽川関連とCOP10関連の企画。余力があれば、その展示だけでも見ておきたい。
名古屋ボストン美術館(金山)
錦絵の黄金時代-清長、歌麿、写楽
これだけ開府400年とは別立て。江戸文化なのでテトラにするといいのに。浮世絵というものが江戸庶民の楽しみであると言うことが展示品からそのまま立ち現れてくる。清長、歌麿、写楽、その周辺と言うような構成。美人図、役者絵が中心になるのか?
名古屋城天守閣
武家と玄関 虎の美術
入って早速、若冲の模写した虎図の原本(ややこしい言い方)が出迎えてくれる。原本が現存していたことにも驚くが、若冲の写生能力の高さにも、あらためて驚かされる。もう、それと金刀比羅の白虎見れただけで、満腹感がある。
徳川美術館
尾張徳川家の名宝-里帰りの名品を含めて-
『西行物語絵巻』って、ここにあったんだ! とやたらに無知なところに感動してしまった。常設展示のスペースも特別展に対応して展示されているので、音声ガイドを借りて、じっくり全体を眺めてみることをオススメしたい。常設展示がナゼあのような仕掛けになっているのかが、あらためて理解できる。
名古屋市博物館
常設展フリールーム
木曽と中山道
20100907~1128
名古屋開府400年記念 特別展
変革のとき 桃山
20100925~1107
名古屋ボストン美術館(金山)
浮世絵名品展第2弾 ボストン美術館所蔵
錦絵の黄金時代
-清長、歌麿、写楽(4F・5F)
20101009~20110130
名古屋城天守閣
特別展
武家と玄関 虎の美術
20100925~1107
徳川美術館
名古屋開府400年 徳川美術館・蓬左文庫開館75周年記念 秋季特別展
尾張徳川家の名宝-里帰りの名品を含めて-
101002~1107
『変革のとき 桃山』 カセットミュージアム 音声ガイド解説作品一覧なし
*解説作品一覧が、なぜ必要かといえば、記憶を整理するのに便利だからだ。目録に○を付けていけば別に事足りるのだが、それは利用者がすべきことか?ただ初日だったから間に合わなかっただけなのかな?
*展示品の説明から時代背景がきれいに立ち現れていた。
*列品の細説に見るべきがある。調書もそうだけど、見てわかるもの、説明しないとわからないものがあって、もう、それは場数だよね。
『錦絵の黄金時代』名古屋国際芸術文化交流財団 展示作品リストがガイドリスト
*巡回展の中で名古屋だけ別プログラム。
『尾張徳川家の名宝』カセットミュージアム 音声ガイド解説作品一覧附 約30分
*1点1点の解説がコンパクトで小気味いい。
2010年10月04日
春日井シンポ
なんていうの。ストーカー被害になんか遇うと「認められたい、愛されたい」なんて感情がどんだけ1人勝手なものなのかと言うことを考えさせられてしまう。もう、はっきり言って、そんなものに振り回されるのはゴメンだ。
この前、彼氏、連れてきて「これからは彼とうまいことやるから」って言っていたような気がしたのに、うまいこといかなかったのか、なんか変な言いぐさ。それは彼がオレではなかったからではなくて、お前に関係を修復する能力がないだけではないのか?
方や、厳然と音楽倫理関係の資料が提示されているにもかかわらず、気付かないのか、粛正されたのか、被害者が自分ではないことに対しての戦意の喪失か、寡黙を通している。オレにだけ任せないで、少しは自分で解決しようとしろよ。
春日井市民会館
春日井シンポジウム
1ヶ月早いと季候がいい。さわやかで寒くないというのが、まず、第一によかった。
まあ、国文学者が『萬葉集』を本気でやるときは、万葉仮名の原文をあげて、読みの問題からやる。文庫本やなんかの釈字は、あくまで一般の読者の便利を考えたもので、文庫本でも講談社本は、ちゃんと万葉仮名を引いている。
あとは底本の取り方。本当に最近まで刊本の広く流通したとされるものを底に採っていて(岩波文庫本)、西本願寺本を底本にしたのは文庫本では角川本である。刊本と西本願寺本でどの程度用字が異なるのかは、国文学の研究がありそうだけど、これからの話なのかな?
そう言う意味で、郷に入ってはではないが、歴史資料あるいは考古資料として『萬葉集』を手に取る場合、どこかで国文学的な手続きは踏まなくてはならないはずで、20巻の構成内容や制作年代の概説、その万葉仮名から起こしていく過程の説明は解っていても必要だったのかな? とかも思ったり。(って、そう批判している時点で知っているのだから必要ないのだが、、、)
文化フォーラム春日井・ギャラリー
文化財特別展
春日井の古代史事始III~古墳・埴輪編~
20100929~1011
キャプションをまじめに読んでいないのであれだが、展示品を見る限り、どうも自分の言葉で説明できていない。
あの先生のアレとアレとアレをこうゆう順番で並べて、、、的な感じがする。その先生が、間違ったことを言ってないから、ただ、そう見えるだけなのかもしれないが、名市博の古墳の展示も、そんな感じだが、そんな神話の再生産で科学的なのかな?
もっと解釈や視点を変えた、新たな立場からトピックスを立てて展示するのはメンドウなのかもしれないけど、、、
まあ、でも、僕の説が定説化したら、僕は定説を否定してまわるね。「ここのコレが論拠が曖昧なはずだ!」とか言って、って論拠が曖昧なら今の内にはっきりさせとこうよ。。。
春日井市民会館
春日井シンポジウム
20101002(土) 午後1時30分~4時40分
20101003(日) 午前10時~午後5時
(参加者募集は8月31日まで)
文化フォーラム春日井・ギャラリー
文化財特別展
春日井の古代史事始III
20100929~1011