3題(3)
愛知県美術館(栄)
プーシキン美術館展
−フランス絵画300年−
音声ガイドが杉下右京こと水谷豊氏と言うことで、早速、見にいく。
キュレーションの全体に言えることなんだけどギリシアとかキュピドとか、ギリシアの神々の読みクセが独特(ロシア訛りなのか?フランス?)
作品は手堅いと言っていいのではないだろうか?
17世紀のギリシア神話、キリスト教のような古典を題材にした作品や肖像画、モネ、ドガ、ルノアール、ゴッホ、ゴーギャンなどの印象派、ポスト印象派の作風のひな形的な作品、マティス、ルソー、シャガール、レジェの「建設労働者たち」など印象派以後のフォーヴィスムの作品と、日本で言うならポーラ美術館やヤマザキマザック美術館的と言っていいのではないだろうか。
人出も有名作家の回顧展に比べれば比較的落ち着いた人出なので、17世紀〜20世紀の西洋絵画、とくにフランスに焦点を当てて、概観したい向きにはうってつけ。
杉下警部は芸術や音楽にも造詣が深いので、ナレーションのあとに、その絵画にまつわる新たな視点を教えてくれる。
松坂屋美術館(矢場町・南館7階)
アニメ化40周年
ルパン三世展
『ルパン三世』という物語を現代批評の文脈に落とし込もうとすると・・・なんてことは、別に僕がやらなくても、誰かがやればいい話であって、そもそも、文脈というかモードやトレンドで内容が変わるような話には興味がない。もっと、そういうモノを、そぎ落としていって不変なモノが、存在するとすれば、そのことの話をしたい。
昔、平日の夕方は子供たちに解放されていた!今のようにニュース一辺倒ではなく、アニメの再放送が主流だった。『ルパン三世』にしろ『ガンダム』にしろ、リアルタイムで本放送を観た人は少数で、夕方の再放送の視聴者がほとんどなのではないだろうか?
『ガンダム』を語る人に『ルパン三世』が語れないのは、『ルパン三世』が『ガンダム』の裏番組だからで、しかも、この指摘にうなずけるのは、70年代産まれ30代までの比較的、若くない人たちだろう。
年に数回、日テレの金曜ロードショーで2時間のアニメを観るが、逆に20代以下で展覧会を見に来る向きは、深夜アニメの『峰不二子という女』を観て感動した、アニメの再放送組から考えたら、貴重な人たちなのではないだろうか?(ここまで展示の説明してないな。そうだ! 展示の説明なしで終わろう)
まあ、個人的に僕は『一休さん』の人で、『ガンダム』なんか「燃えあがれ〜♪」とかいいつつ、なんかくすぶったアニメとしか思わないし、『ルパン三世』も、お兄さんが観るアニメという感覚が強い。(なんで『一休さん』の回顧展ってないんだろう? アニソンでもフル尺のモノを今、購入できないでしょ?個人的な当てずっぽうだけど『一休さん』を好きな人はメインカルチャーに進んでいるんだと思うゾ)
まあ、結局、冷戦構造を前提とした、アメリカの軍事力の傘の中でエコノミックアニマルとして自由を謳歌した日本の象徴として、ルパン一味というのが存在して、銭形という日本のサラリーマンを象徴する「仕事に摩滅する」と「仕事しか充実することがない」を兼ね備えた人物が登場して、その細部の変相の歴史でもあったり。
名古屋市博物館
中国 王朝の至宝
音声ガイドが、通常版と『キングダム』版があって、『キングダム』版を借りたんだけど、結構あなどれない出来。役名で言うと信(シン)と貂(テン)のかけ合いなんだけど、シンが驚きながら、結構ガッツリした絵解きが出来ていて、役柄と脚本が、うまくシンクロしている。
展示は、おおよそ統一王朝の誕生以前(1章・2章)、統一王朝の漢と秦(3章)、仏教流入後の王朝(4〜6章)といった感じか。
以前NHKスペシャルで特集された、殷以外の長江流域の文明の青銅器や、仏像も数体展示されているが、1番は阿育王塔と呼ばれる宝篋印塔型の塔。
ショップでは2013年のカレンダーがオススメ。絵はがき6枚と考えればすごくお値打ちだと。
愛知県美術館(栄)
プーシキン美術館展
−フランス絵画300年−
2013.0426〜0623
http://pushkin2013.com/
松坂屋美術館(矢場町・南館7階)
アニメ化40周年
ルパン三世展
2013.0427〜0521
名古屋市博物館
特別展
中国 王朝の至宝
2013.0424〜0623
http://china-ocho.jp/
常設展示 フリールーム
中国の歴史と文化
2013.0416〜0623
常設展示 テーマ10 近世尾張の文化
中国故事を描く
2013.0424〜0623
2013年04月21日
伏見2題(2)
名古屋市美術館(伏見)
上村松園展
やっと、わかった! 上村松園の個展が、なぜピンと来ないか。
描かれた美人達が食いあうというか、誰が1番かを、絵同士が張り合っているのではないだろうか?
例えば常設展に1点(例えば鼓の音72)とか、ホテルのロビーに1点(例えば花嫁80)とか、そんなに大きな絵でなくても、松園の絵であれば、その場の雰囲気を喰ってしまう。そのくらい迫力があるはずなのに、個展になると、どうしてもお互いにライバル関係になってしまって、惜しい感じがする。
でも2010年?に巡回した展覧会の次の個展で、名古屋で、あれだけ、まとまった数の上村松園を見れるのは非常に貴重な機会。美人画が好きな人は、もう必ず行くレベル。
目玉は、やはり「花がたみ42」なんだろう。楊貴妃33、静御前6もいい。まあ、お気に入りの1枚を見つけるのが美術館の楽しみなので、目玉だけでなく、「あいつフシアナ!」的に、自分の好きな1点を探してください。
あと展示で目に付いたのは「冬雨63と雪62」とか「初雪59と春雪61」のような同一人物と思われる連作が、アンディーウォーホールてきな、すごくポップな視覚効果が出ていて、個展も悪くないなと思わせる工夫に見える。
「美人観書85、桃の節供82、娘83」だったかな?別人で年齢も24、16、18くらい?かなと思わせるんだけど、額装がよく似ていて、連作的に見れて楽しかった。
ああ音声ガイドは羽田美智子さん(ゴメン、かりなかった)。
常設の第3室に上村松園の下絵が展示されている。下絵があれだけ丁寧に保存されているのにはビックリする。「花がたみ」の足下に、なぜ扇が落ちているのか? という疑問が、下絵を見ると解決する?
常設に草間弥生氏の展示が数点、ボートとケイタイのデザインが、やはり目を引く。エコールドパリはモジリアーニの「おさげの女」。郷土の展示に川合玉堂が1点。ピンとした画風からヘタウマの境地に至る過渡的な作品になるのか? 静けさの中に、おおらかな状景にみえた。あんまピンとした感じは好きぢゃないんだよね。
名古屋市科学館(伏見)
ドラえもんの科学みらい展
映像展示が多くて少し残念。展示室の大きさと入っている観客と展示の数がミスマッチしていて、非常に疲れる。音声ガイド借りたんだけど35分くらい、あの場所にいたら、もうクタクタW
いくら子供に受けても、大人が納得しないと、なかなか次に続かない。
体験型の展示を体験しようとすると、どれも15〜30分程度の時間が必要で、そのように用意して時間をみた方がいい。
(ちゃんと褒めれてないけど疲れた)
名古屋市美術館(伏見)
開館25周年記念
上村松園展
2013.0420〜0602
名古屋市科学館(伏見)
特別展
ドラえもんの科学未来展(仮称)
2013.0316〜0506
2013年04月04日
【EotY】2013年第1四半ベスト(1)
【ベスト】
まあ、このクールは出あるかなかったので、ベストだけを、その順番で。
土岐市美濃陶磁歴史館
織部−ソノ器、ヘウケモノ也−
別に「応挙展」を首席に持ってくるのであれば、そういう所が、そういう方法でやればいいのであって、まあ展示されるモノの価値というのは前提的にあるが、展示や着想に関しても綜合的というか、相加平均ではなく相乗平均的な数値を比較したいと思う。
まあ、それを時に「主観的」と言うのであるが・・・
やはり黒織部は、最近の僕のモードというか、世間的にもアニメやマンガの『へうげもの』の影響もあり再評価の機運があるのではないだろうか?
そういう伸びシロとして首席。
大垣市スイトピアセンター アートギャラリー
日本のアニメーション美術の創造者
山本二三展
~天空の城ラピュタ、火垂るの墓、時をかける少女~
もうアニメの世界もデジタル化してしまって、なんとなく無機質な(ポスターカラーで描いていた時は逆に求められたことなんだろうが、それが)画面が多いように感じるが、やはり人が描いたものの技術性や芸術性は、再評価すべき時期なのかも?
愛知県美術館(栄)
「応挙」展
もう、言わずもがなで、寺院のふすま絵の展示方法と言っても非の打ち所がない的な評価なんだろうな。
逆説的に「国宝」「重要文化財」という言葉が、作品の評価を転倒させているのではないかとも考えられる。
国宝や重要文化財でないから、発掘品は評価できないとか、現代の職人的な作業に芸術性の萌芽があるのか? という見る側に対する挑戦でもあるのかもしれない。
豊田市郷土資料館
特別展
明治の傑人 岸田吟香
〜日本で初めてがいっぱい! 目薬・新聞・和英辞書〜
もう吟香という人物を見つけてきた時点で勝ちな感じ。
高浜市やきものの里 かわら美術館
−東日本大震災復興祈念−
みちのくの瓦 東北と三州をつなぐもの
震災の影響もあって、再び歴史的にとか、文化財的な価値を再評価・再定義したい「東北」という地域。
「津波の一面のグレーから彩りを見せたかった」
やっぱ、東北の人が自分たちの文化としての彩りに目を向けられるようになったらいいな。