不可逆
今でも私の手に彼の指の温もりが残っている。
もう、1年にもなるのに・・・
あの時のことは彼の最後の優しさだったんだと今は思う。
たぶん、「責任」みたいなモノをとる覚悟もあったのだろう。
今から思えば、、、
また、あの時と同じ季節になっているのに、私と彼は別れ、いや、いろいろな人が出会いや別れを経験したはず。
あの時と同じ季節なのに、季節が逆回りをしないように、今年の秋は今回一度きりなんだと、改めて思うの。
「健やかなるときも病めるときも……」
そんなフレーズを幾度思い描いたのだろう?
でも、私は彼の「病めるとき」そばにいてあげられたのだろうか? きちんと支えられていたのだろうか?
「支える」というのもおこがましいのかもしれない。
防風林のような、、、そんなに強くはなれないのだろうけど。