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2013年01月06日

2題(2)

徳川美術館
日本の神様大集合 徳川美術館へ初詣
 東照大権現(徳川家康)、八幡大菩薩、伊勢、熱田、春日大社、菅原道真、柿本人麻呂、七福神、名古屋の祭礼、三番叟に代表される能の神様、雅楽と大項目を追うとこんな感じ。
 常設展の能のセクションにお正月ということもあって「慈童」の能面(個人的には童子面特有の色気というか、こちらを奮いたたせるような何かが感じられなくて少し残念)も展示されており、映画『大奥』とのコラボ企画で蒔絵の調度類の展示もあり、当然ながら茶道具もあり、内容も盛りだくさん。
 確かに神体とされる八幡大菩薩の画幅が展示されているのだが、こういうモノは神体とは考えたくない。
 そもそも神体は記紀神話で語られる貴人の身の回り品に、その人の人格が宿ると考えるモノ。いわゆる三種の神器だが、三種の神器には近代の国家神道での脚色が色濃く残る。
 もう1つの神体が「天上から神が降りてくる時の目印」山であったり(神体山)、白木の柱(御柱)であったり、神木も、この類なんだろうけど、よく判らない。(山や森の中で、とくに1本を特別視した形跡はないし選択できないモノを目印にするのも考えにくい)
 神体の本義は、その辺にあって題字や画像、偶像が、どの程度、その機能を担えたか疑問があるし、題字や画像、偶像を本尊として、すえてしまったところで〈神道〉の本義が転倒してしまうのではないかと考える。
 例えば、家の神棚や台所にあるお札は、そこに神様が宿っているのかもしれないが、その神はあくまで氏神や伊勢神宮の、その場にいる神であって、遥拝(ようはい)という「遠くから拝む行為」の補助として、お札が存在しているにすぎないのではないか?(ハイパーリンク理論)
 まあ、こんなこと実証論的に、どうのこうのできる話ではないので、どっちでもいいんだけどね。

松坂屋美術館(矢場町・南館7階)
生誕110周年記念
ウォルト・ディズニー展
 なんかフライヤーに偽りありだな。
 展示は、ほとんど映像展示とパネルによる解説。ところどころにノベルティーのようなグッズが展示されているがキャプションも少なく、時代もバラバラなモノが詰められている風に見える。
 時間を十二分(じゅうにぶん)にとって、キャプションや映像を、しっかりと読みこまないと、よくわからないまま。

徳川美術館
企画展示
日本の神様大集合 徳川美術館へ初詣
2013.0104〜0203

松坂屋美術館(矢場町・南館7階)
生誕110周年記念
ウォルト・ディズニー展
2012.1215〜2013.0120

2013年01月04日

【EotY】2012年第4四半ベスト3(1)

【ベスト3】

名古屋市博物館
大須観音展
 まあ聖教・古文書という展示の性格上、少し上級向きというか、鑑賞者を選ぶという向きもあろうが、基本的なことを少し頭に入れるだけで、鑑賞は十分楽しめるし、それ以上に、展示やキャプションが充実している。
 まあ、くずし字ということでは芭蕉展ともかぶる感じもあるが、個人的な意見になるかもしれないが、大須観音展が首席。

滋賀県立近代美術館
石山寺縁起絵巻の全貌
~重要文化財七巻一挙大公開~
 石山寺縁起がスゴいのは当然として、釈文が充実しており、初心者にもすんなりと入っていける展示と言っていいのでは?
 やはり、こういうカチッとした展示・企画方針が好きなので2席。

名古屋ボストン美術館(金山)
ボストン美術館 日本美術の至宝
 前期・後期まとめて評価するつもりだったのか? 第3四半期に言及がない。
 仏像の展示がないのは惜しまれるが、海外にある日本美術にふれられる機会は貴重。名古屋に展示室があるといっても、日本美術がやって来るのは、かえって他館への巡回の方が多いくらい。入選。


【総評:4件】(順番は鑑賞順)
京都国立近代美術館
高橋由一展
 美術の教科書の鮭の絵の人と言う方が、通りがいいかも。
 あのなが細い画角に日本の洋画の可能性を考えた人。正月に文化住宅の床の間に、あの鮭の複製をかざりたいね。

祖父江町郷土資料館
「尾張の書画家たち」展
 展示室と展示内容に問題はあるものの、企画者の意欲にあふれる展示。
 5年とかに1度でいいので調査成果展を期待したい。

奈良国立博物館
正倉院展
 いわずもがな。青いワイングラスを代表にガラス群が印象的。

斎宮歴史博物館
暦と怪異 〜不安な日々の平安貴族〜
 もう少しストーリーを示して欲しかったような(なんでベストにケチつけてるんだ?)一級資料が集まっているだけにもったいない。
 個人的には、伊奈冨神社の男神坐像(崇神)と神宮寺の神像は2軀1倶、あるいは3軀1倶(もう1体は群像の可能性も)のもので、神宮寺像に数珠など仏教的要素のものが含まれていたために伊奈冨神社にあったものが神宮寺へ、神宮寺をはじめに塔頭寺院が伊奈冨神社の周辺にはいくつかあるので、その天台寺院の山王立体曼荼羅が神像ということで伊奈冨神社へ移動したものと考えたい。
 四日市市立博物館でも伊奈冨神社の1体をフィーチャーするから、みんなが「神仏習合のカタチの見本」みたいに見るのであって、2軀1倶だったら、もっと別の鑑賞も可能なはずが・・・