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近世の王権

近世型権力の流動体支配は、なめらかな空間の住人を商人にかえ、その空間の「幸」を商品に変え、多様な運動を貨幣の一元的な動きにつくり変えていくムーブメントがととのったとき、はじめて作動しはじめる。これによって、「天下人」という「王」たちは。はじめて天皇をのりこえることが可能になった。古い中世的な天皇の権威をアジールの流動体もろともに解体し、それをじぶんのなかに再編成してしまうのだ。織田信長が、アジールの特権を解体するために、有名な「楽市令」を発令したとき、彼はこれから形成されようとしている新しい「王権」の原理を、はっきり読みとっていたような気がする。

『悪党的思考』p164
 中世的な非農民「なめらかな空間の住人」をより近世的なモノへ変質させてゆく。ここに中世的なものの終焉をみる。
 ただ、戦国時代をどう解そう。後醍醐以来の中心性のなさ。