偽書の生成
転写の誤りでもあるのかなと「弘法」の2字を「空海」と改めてしまった。そのままにしておけば偽書顕然であるのに無用に私が「空海」と改めてしまったと後悔しています。
度会延佳『神家考異』『中世王権と即位灌頂』p366
往昔、『中臣祓訓解』を書写したときの話らしい。
(弘法)大師は承和のはじめにかくれ給へり、小町がさかりなる事、その後の事にや、なほ覚束なし
吉田兼好「第百七十三段」『徒然草』『中世王権と即位灌頂』p368
松本郁代氏は、ここに「偽書」に対する兼好の思考停止を見いだしている。
中世的な不測(はかりがたい)のことの端的な例。