龍女成仏の属性
裏返せば、現身の女人が背負う罪業というモチーフにさほどの感心は払われていないのであって、それはかかる龍女成仏の習いが、女人によって担われたのではないことを示してもいよう。(中略) それは中世叡山における本覚思想の爛熟を物語る。劣機なるものが正覚に達するという覚醒の逆立構造である。
『変成譜』p257
「龍女」のイメーヂから来る、女人成仏のような発想がダイレクトに女人に反映されるのではなく、本覚思想を通して劣機なる者の逆転的な成仏を象徴するものであるとする。
(言いかえただけ)