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獣育譚

地位も名誉も財産もある、立派なお家におきまして、ひとり娘として生まれたおねェさんが、なぜに、こういう動物たちと生活しておったか。赤ちゃんの時に、ヒョッとしたお母さんの不注意から、どこからともなく現われた一匹のけだものにさらわれてしまったのであります。

「見世物口上・採録」『私は河原乞食・考』p196
 なんとかという高僧(東大寺の良弁だったか?)が鷹にさらわれ育てられたという伝承がある。そのような縁起の絵解きのような現場から、このような見世物が枝分かれするような、そんな、るつぼのような空間。宗教空間の門前で行われた芸能のような、そんなことを思った。