複合土師器
『小栗鉄次郎』展の図録、No48の高坏。
ある意味「高坏」という名称は正しくない。
これは器台の上に坩(こつぼ)ののったのを模した、「複合土師器」とでもよんでもいいものだ。
類例が増えれば「器台付き坩」のようなよばれ方をするのかもしれないが今のところ、それほど数もないようだ。
私の知る中では、時代は異なるが、各務原の八龍遺跡?で高坏の上に鉢形の坩をのせた複合土師器がある。ここで注目なのは下が高坏であることで、高坏が器台として使われた証拠のように思う。
複合土師器で有名なところとして、大口町の仁所野遺跡?の例があげられよう。この場合は高坏の上にパレス壺がのっている。
考古学では2例というのは必ずしも多い数ではない。しかし、そこでは高坏をツボをのせるものとして使っている。
昔、ある博物館で、高坏にたいして、
「これは何に使ったのですか?」
と、問われたことがある。
「ああ、ツボをのせるウツワですよ」
と、答えると、学芸員が飛んできて、
「いえ、違います。食べ物をもるためのウツワです」
と、言うではないか!
この学芸員は、少なくとも2度以上、遺跡で食べ物が高坏にもられた状態のものを、見たのだろうか?
ケンカするのもバカバカしいからだまってたけど、、、
*複合土師器より「器種複合」現象と呼んだ方がキャッチーかな?
*『萬葉集』巻一六・三八八〇に、しただみという貝を高杯にもるとある。でも、この時代の高杯は木製なのでは?