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2題

奈良県立万葉文化館
写真展
小川晴暘と奈良 飛鳥園のあゆみ
-小川光三・金井杜道・若松保広-
 奈良にある文化財写真を中心にする飛鳥園の写真展。4人の写真家をクローズアップして、飛鳥園の歴史みたいなものをあぶり出している。あれだけ拡大されても、見応えが落ちることがない。現像の技術もそうなのだろうが、アナログ写真の味わいというか、デジタルの描点上の限界を考えずにはいられない。
 図録も前評判がいいがB4版と普通の図録より1回り大きい。もう、製本をほどいて1枚1枚を額装したいぐらいにキレイ。図録のレゾンデートルが変わるかもしれない。ポストカードの製本のようなスタイルを採れば、もう、そういうことは不可能な話ではないもんね。ヨン様の『スキャンダル』のパンフ思い出した。

天理大学附属 天理参考館
創立80周年記念 特別展
よみがえるヤマトの王墓-東大寺山古墳と謎の鉄刀-
 金関先生の講演会があるのを近鉄の車中で知って少し急いだ。
 東大寺山古墳から「中平銘」の鉄刀が出ていて、遼東半島とか帯方郡の中国でのドメスティックな独自性と、銘文の隷書の微妙な崩れから、漢の王朝は直接関係はなくて、帯方郡あたりで案件が処理されて鉄刀が下賜されているのではないかといった内容だったか?
『後漢書』から『魏志』の間に政治的空白というか、史書の散逸のようなことがあって、現在に伝わっていない日中の交流も考えられるらしい。
 すごいよね。東大寺山古墳。あれだけの武器が一括破棄されるわけだから、現在の感覚らからすると不思議としか言わざるを得ない。埋葬のための副葬品として新たに入手されたモノなら、軍事的な緊張を想定せざるを得ないし、伝世品を埋葬するのであれば、葬儀後の軍事的な弱体化が想定できないか?
 古墳から、大量の埋葬品が見つかるから畿内はスゴいというのは、一見分かりやすいけど、実用品とか、貴重品、軍事的な資材を一括破棄するという視点から見たら、それを担保していた〈社会構造〉って、案外独特なんだよね。へんなドツボにはまってしまった!

奈良県立万葉文化館
写真展
小川晴暘と奈良 飛鳥園のあゆみ
-小川光三・金井杜道・若松保広-
20100918~1026

天理大学附属 天理参考館
創立80周年記念 特別展
よみがえるヤマトの王墓-東大寺山古墳と謎の鉄刀-(仮称)
100922~1123