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2011年05月28日

4題

豊橋市自然史博物館
表浜の生きもの
 エントランスでのパネルを中心にした展示だが、しっかりとした図録もある展示。
 表浜というのは三河湾に対して太平洋側を指し、伊良湖岬から浜名湖の辺りまでと定義していた。
 島崎藤村の「椰子の実」は伊良湖岬に南の島から椰子の実が流れ着いたことを柳田国男が語ったことに取材されていることに象徴されるように漂着物。
 海外からのゴミもそうだし、漁具や、波の浸食により削られたガラス片。生物の死骸も例外ではない。
 そのような物を丁寧に標本にしている。
 展示見て図録買って夏には表浜にいきたい。

豊橋市自然史博物館
ダイナビジョンシアター(大型映像)
ダイノトピア 失われた恐竜王国
 恐竜が出てくるというだけの非常に娯楽性の高い映像。
 ストーリーがどうのとかプロットがどうのとかは、まあおいておくとして、原理主義的には娯楽映画なら映画館でやるべきでは? と言われかねないのでは?
 引き合いを出すべきではないが、シーモンスターのような娯楽性の高い科学映画と、このような科学性のフィクションの娯楽映画では質的に違うのではないか?
 まあ、コンテンツを、どうこうするにはマーケティングや実際の入館者数を比べて詳細に議論されるべきなのかな?
 個人的な意見を言えば(と言いつつ徹頭徹尾、個人的意見なのだが)科学館・自然史博物館では娯楽性はさておき科学的なコンテンツを見たい。それはダイノトピアを上映してはいけないと言うわけではなく、もっと融通を効かせて、例えば夕刻から2時間くらいのミュージシャンのライブ映像をワンドリンク付きで見せるような活用するくらいの幅は映像展示施設を持っている強みとして考えてもいいのではないか?
 そう考えた時に、子供向け娯楽映像としてダイノトピアが適切なのか? まあ、恐竜売りの博物館だしな・・・ 時間の制約によるプロットの甘さでもない気がするんだよな・・・

豊橋市美術博物館
カンヴァスに描かれた女性たち
 巡回展で4月始まりなんだけど外国館からの借り受けが311以前のようでラッキーな展示。
 ともすれば数年、このような展示は見れなくなるのかもしれない。
 ルネッサンスくらいから印象派の手前くらいまでの女性をあつかった絵画の概観。
 聖母子像、神話としての女性、肖像画、娘、母子と聖母子がふつうの母子になる過程のような展示。
 ルネッサンスというとイコノグラフが柔らかく崩れていくような時代。儀軌なしで女性像として見ても楽しい展示。

豊橋市美術博物館
「新」収蔵品展
 1点を上げれば上田薫氏の苺の作品ではないだろうか?
『トリックアート』展では、はっきり言ってピンと来なかった作品群だが、1975年の作品だと知って改めてすごいと思った。
 このようなスーパーリアリズムの作品群はインクジェットの発達と照らして考えるべき。その意味で1975年という時代はスゴい。

豊橋市自然史博物館(のんほいパーク内)
ダイナビジョンシアター(大型映像)
ダイノトピア 失われた恐竜王国
2011.0406~0626

豊橋市自然史博物館(のんほいパーク内)
「国際博物館の日」記念事業 収蔵資料紹介展
表浜の生きもの
2011.0423~0626

豊橋市美術博物館
「新」収蔵品展
2011.0402~0619(美術)
2011.0514~0619(歴史)

豊橋市美術博物館
カンヴァスに描かれた女性たち
2011.0521~0710

『カンヴァスに描かれた女性たち展』 収録時間:約27分 音声ガイド解説作品一覧附 解説件数:25件 制作:カセットミュージアム
*コンパクトにイコノグラフも含めた概観がまとめられている。
*余談というカタチで1点について掘り下げていくか、章末に展示の大まかな流れを挟んでいくか、展示内容と音声ガイドのあり方はいろいろと考えられそう。

2011年05月23日

2題

名古屋市博物館
古代メキシコ・オルメカ文明展 マヤへの道
 オルメカ文明ってどの程度の知名度なんだろう?
 メソアメリカ(中央アメリカ)のマヤ文明の直前の文明になるのか?
 ネイティブアメリカンの文明というと金製品を考えるかもしれないが、オルメカ文明展では金製品はなく、玉製品を多用している。
 仮面、石斧、石斧をシンボライズした石碑的な威信財と巨大な石造物、その拓本を興行的に勝れたやり方で展示している。
 音声ガイドが時間的にも充実していてほぼ全品解説なので、1時間程度の時間があれば活用も考えたい。

徳川美術館
名古屋市蓬左文庫
臨時企画 春季特別展
徳川将軍と尾張の殿さま
 すでに終了してしまっている。
 家光の名古屋下向の代替だが尾張徳川家のクロニクルに終始。
 家というモノが機関として働いていて、養子の取り方など調べると秀逸!

徳川美術館
名古屋市蓬左文庫
臨時企画 春季特別展
徳川将軍と尾張の殿さま
2011.0409~0522

名古屋市博物館
日本メキシコ交流400周年記念
特別展
古代メキシコ・オルメカ文明展 マヤへの道
2011.0416~0626

『古代メキシコ・オルメカ文明展』 ナレーション:堀江道彦氏 ご案内時間:約38分 音声ガイド解説作品一覧附 解説件数:30件 制作:カセットミュージアム
*ほぼ全品解説。時間は必要だが全品解説の実験として興味深い。

2011年05月17日

古陶の譜

愛知県陶磁資料館
古陶の譜 中世のやきもの
-六古窯とその周辺

 タイトルとポスターから館蔵品展だと勘違いしてた。
 ミホ・ミュージアムで図録を見て、いわゆる「正和の壺」が展示されてるらしいと言うことで見に行く。
 展示もさることながら、図録も含めて、中世の陶磁の概観として中世のブツの研究者なら見ておきたい、図録は所有しておきたい。図録すごいのよハードカバー布装、箱入りとバブル以前の陶磁全集を彷彿とさせる装幀。研究編も充実していて、当代一等の研究者の各古窯に対する概観が読み応えがある。図版はもちろんなんだけど。
 まあ、瀬戸、美濃、渥美、常滑は『窯変の美』と似たような組成になってしまうのか?
 他の地域は、当地の資料館から資料を借りてきている感じ。

 紹介が遅くなってしまったが、時間があって、あまり古窯の品に親しんでいないという人は見ておいて損はない。
 以後、福井と山口に巡回。

愛知県陶磁資料館
特別企画展
古陶の譜 中世のやきもの
-六古窯とその周辺
2011.0402~0522

2011年05月06日

3題

大阪府立狭山池博物館
新発見、安松田遺跡の東大寺瓦
 展示ケース1台だけの小さな展示だが、その意義は非常に大きい。
 いぶし工程の非常に希薄な酸化系の白色を呈する表明を持つ瓦。解説などでも他の東大寺瓦窯に先行するのではないかとされる。
 管見を差し挟めば、渥美窯の様式編年は東大寺瓦の年代を再建東大寺の開眼の年代を元に実年代を当てはめていたのが、これまでの研究の成果ではないだろうか?
 しかし、皿焼窯の五輪塔が重源ゆかりのものと考えられ、これまでの年代観と若干の狂いが生じていると思うのは筆者だけだろうか?
 まあ、伊賀別所・新大仏寺の木製五輪塔も含めて、その異形ぶりというのは五輪塔の研究者からも疑義が発せられていることもあり、今後の詳細な検討(あるいは四日市市立博物館・奈良国立博物館の研究)をふまえて十分議論されなければならないが、現在の私見を述べておく。
 まあ、後出しじゃんけんのきらいもあるが、伊良湖東大寺瓦窯の瓦について再建大仏の開眼供養の以後、あるいは大勧進が栄西に替わってからの瓦のような気もする。つまり、再建大仏殿は開眼の段階で非瓦葺き、あるいは今回の成果に頼れば安松田遺跡と、その周辺の瓦を限定的に使ったのではないか?
 1つの論拠としては『南無阿弥陀仏作善集』に伊良湖に対する記述が存在しないことがあるのだが、伊良湖での重源の窯業に対する殖産性を考える内に、ギブ・アンド・テイクのテイクのある場合には〈作善〉と考えなかったのかもしれないとも考えられ、もう少し熟考したい。
 その中で、安松田遺跡と伊良湖東大寺瓦窯の瓦の違いを考えた場合、窯内に炭素原子を充満させ瓦の表面に黒色を吸着させる「いぶし技法」の開発というのは1つ着目していい技法上の違いなのかもしれない。

飛鳥資料館(奈良文化財研究所)
春期特別展
星々と日月の考古学
 今年はキトラのはぎ取りの展示がないので落ち着いた人出。
 しかし、現物を実見するのも大事だが、毎年、地下で行われるモチーフをテーマに調べ上げられた展示は図録も含め、見ておく価値のある展示。
 今年は、天体図をテーマに東洋における天文学の発達と思想を概観できる。

大和文華館(奈良・学園南)
開館50周年記念 特別展I
女性像の系譜
-松浦屏風から歌麿まで-
 改修が終わり門前の駐車場が整備され、展示施設までの道のりも石畳に改められた。
 駐車場は申し分ないが、石畳は改修から日も浅いこともあり落ち着きが少なく感じられるが、数年とか十数年というオーダーでじっくりとしっくりしていくものだろう。
 松浦屏風の展示にあわせ、ひろく美人画を集めた展示。
 展示室に、ぎっしりと美人画が集められているのは壮観。目新しいものも多く、入門者のみならずクロウトの鑑賞にも十分堪えうる展示なのではないだろうか?

大阪府立狭山池博物館
スポット展示
新発見、安松田遺跡の東大寺瓦
2011.0426~0508

飛鳥資料館(奈良文化財研究所)
春期特別展
星々と日月の考古学
2011.0416~0529

大和文華館(奈良・学園南)
開館50周年記念 特別展I
女性像の系譜
-松浦屏風から歌麿まで-
2011.0403~0508