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【EotY】2012年第3四半ベスト3(1)

【ベスト3】

高浜市やきものの里 かわら美術館
愛と正義と勇気をうたう
やなせたかしの世界展
 ユーモアと感動、人気と専門性を兼ね備えた希有な人格。
『アンパンマン』がなくても、やなせたかし氏だが、『アンパンマン』あっての、やなせたかし氏。
 総評も含め粒ぞろいなだけに、逆説的な首席。

愛知県陶磁資料館
戦国のあいち
−信長の見た城館・陶磁・世界−
 まあ愛知県の取り組みとして、入選。
 大規模発掘の成果と歴史地理的な整理手法の成果。
 ただ、岩倉城と国衙(岩倉城の南)の関係や、下津の下津城部分と下津宿遺跡、さらに南の国府などとの関係の説明が不足など、大枠での地域認識の問題に、いささかの疑問が残る。
 愛知埋文の到達点として次席。

岐阜県博物館
飛騨・美濃の信仰と造形
−古代・中世の遺産−
 他の展示より優位であるというより、下呂の森水無八幡の神像群にビビビっと来たことにより入選。
 ストーリーで見せる展示もあるが、モノをズバリ見せて完成させる展示、後者のひながた。


【総評:5件】(順番は鑑賞順)

京都国立博物館
古事記1300年
出雲大社大遷宮 大出雲展
 宇豆柱や鰹木は、やはり壮観。古事記から短絡的に出雲を選択したのは疑問だが、京都で見る出雲の文化財もよい。

奈良国立博物館
頼朝と重源
−東大寺再興を支えた鎌倉と奈良の絆−
 1点をあげれば、甲府善光寺の頼朝像。神像や建築史的にも興味深い作例なのでは?

安城市民ギャラリー展示室C
知りたい! 姫小川古墳
 個人的には、やっぱ姫小川古墳のような古墳は古墳とは言いたくない。「在来型墳丘墓」とか「続弥生的墳丘墓」とか「非畿内型古墳」というのが適切なのではないだろうか? 東之宮古墳や青塚古墳の1次埋葬まで在来型墳丘墓なのでは?
 外部施設としては葺石と畿内に準じた埴輪の使用に画期を求めたい。古墳時代のお墓だから「古墳」というのは事態を、ややこしくする。

PARAMITA museum パラミタミュージアム
南都大安寺と観音さま展
 観音菩薩にしぼって、彫刻史として作例が追っていける優れた展示。

岐阜市歴史博物館(岐阜公園)
共催特別展
織田信長と美濃・尾張
 古文書が読めるともっと楽しめる展示なんだろうな。
 茶道具や絵画資料も、それなりに楽しめるが、古文書が読めないともったいない。