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2題+2題

大阪市立美術館
住吉さん
 住吉大社の御神宝はもちろんのこと。歌枕としての住吉、和歌神としての住吉。そして奈良絵本、御伽草子などの文学に取材される住吉。と立体的に住吉大社が展開している。
 ふと気づいたが、住吉大社は東を背にして建っている。海神であれば海を背に西を背にするのが普通に思うが、陸へ上がって振り仰ぐと神様の御前という図式である。そういえば鎌倉の若宮八幡もそうなのだが、北を背にするのと東を背にするのでは感じ方が違う。たいてい、北か西を背にしているように感じる。あるいは、東国に対する遙拝所なのでは? とか考えてしまう。厳密にどの程度の範囲が住の江で難波津とは弁別できるのかはよく解らないが、生駒山麓の草香江と呼ばれるあたりから、難波の堀江、住の江のあたりまで、古墳時代後期に開発・整備された港湾なのではないだろうか? そう考えた時に、中世的な〈日本紀〉や『御伽草子』とは異質な、古墳時代の住吉というものが立ち現れてくるのかもしれないとも思う。
 神功皇后の海外遠征は、海外遠征したかった当時の政権の欲求の表れとかね。

奈良国立博物館
正倉院展
 まあ、いつも思うが、すごい人。なんていうの正倉院なんて、スゴいのが当たり前で、逆に例えばMIHO MUSEUMのユーラシア・中国の収蔵品は、それに匹敵するくらいスゴいんだけど、集客率考えて疑問符がつく。(まあ奈良博の展示関係者が「それでも正倉院はスゴい」というのは当たり前だし、その自負がなければ展示もうまいこといかないのは当たり前なのだが)
 旭山が何人で、それに追随して行動展示を始めた動物園が何人。それって、もうすでにブランドイメーヂしか集客に寄与していないのと同じなんだよね。
 日本の国民性と経営というのは、そういう難しさがある。一番乗りして「スゴい」を植え付けた人が価値的な。そして、隣の芝生は青い以上に、足下のモノを「たいしたことない」と思いすぎる。
 渥美の大アラコ窯行った時に、その前に皿焼窯に立ち寄ったから「ここが遺跡でさ」なんていっても、納得してくれないの。考古学かじれば、何でもない畑の下に遺跡があるのはある意味常識で、原状回復したんだなくらいの話でしかない。
 えっと、なんだったっけ? そうそう、だから、博物館経営には、たぶん伸びシロがあるんだよ、という話。

なら仏像館
 そうか『東大寺展』で優品が結構出払ってるのか? ムダに期待したらしく、思ったようにピンとこない。だから、その「ピンとこなさ」が最大の特徴なんだと思う。年代順に並べたわけでも、ヒエラルキーに沿ったわけでも、群像論的に何かを説明しようとしているわけでもない。逆に、これらの手法は、もう出尽くしたのかもしれない。尊像に対するイコノグラフ、ウンチクは、逆に観覧者側にあふれているのではないか? そうした時に、もうそこには、一体でも多くの見応えのある尊像を配置すればいいだけなのだ。そう考えた時に、確かに、そこには優れた仏像のコレクションが厳然とあるのだ。

興福寺国宝館
 新装してからはじめてになる。十大弟子と八部衆をメインに押し出した展示。仏頭の前で小声で「カトウトキコ」と言うのが、お作法なのだがさすがに恥ずかしくて言えなかった。阿修羅に痛々しいくらいにライトが当たっているのだが、ガラスケースの中ではない阿修羅ははじめて見る。あんなに展示1つで変化するとは思わなかった。もう1点お気に入りをあげるとすれば、千手観音の左隣にいた帝釈天。すっくと立つ姿が高潔な感じがして気に入ってしまった。「ああアレね」と思い当たらない人は、一度足を運ばれてみては? 東金堂の文殊菩薩も、いい仏像だよね、今回は見なかったけど。

大阪市立美術館
住吉さん ~ 住吉大社1800年の歴史と美術~
20101009~1128

奈良国立博物館
特別展 第62回
正倉院展
20101023~1111
http://www.yomiuri.co.jp/shosoin/

20101024
『住吉さん』 カセットミュージアム 音声ガイド解説作品一覧附
*展示順と音声ガイドの順番が違っていてもいいし、展示替えのある作品を音声ガイドが取り上げるのもかまわない。しかし、ダブルでくると、どれを聞いて、どれを聞いていないかを見失う。
*展示替えの作品は、作品一覧などで期間の網かけなどの工夫はできないだろうか?前期展のみ、後期展のみ、中間くらいのおおざっぱなものでも大変助かる。日付だけだと感覚としてつかみにくいところがある。
*どこの展覧会かは特定しないが、音声ガイド端末を館外に持ち出してしまった事例を見受けた。○○博物館のセキュリティーが甘い的な個別攻撃はしたくない。ガイド端末の管理するセクションでは年間何台、稼働率から考えて何割という端末の紛失データはあげられるだろう。館への入り口のもぎりか、展示室の出の警備員などが、確認・案内の強化はできないのだろうか?まあ、それでも出ちゃう時は出ちゃうんだけど。。。
『正倉院展』 A&Dオーディオガイド 音声ガイド作品リスト附 所要:約35分
*最近、耳が慣れたのか音声ガイドの終わり方に違和感を感じなかったが、久しぶりの違和感。文と文の間隔が微妙に長い。
*説明文が長すぎる。正倉院展は人が多いので展示品を見ずに音声ガイドを聞くだけの時間は極力避けたい。展示品の前に立ていられる時間と音声ガイドの時間が隔たらないのが理想だ。音声ガイドの特質、特点を表にするより、簡素、適切なワンフレーズ的な音声ガイドが他の展覧会とは違い求められるのではないか?
*音声ガイドと解説ボランティアの住み分けが問題になってくるよね。差別化というか区別化? 民業圧迫を避けるために、解説ボランティアも有料にしてはどうだろう? 過去数年の経験だが、ある程度の記憶力があれば、解説ボランティアの前に展示目録を入手して、目録にメモを取りながら、展示位置とすりあわせてながら解説を聞いて、現物に接するのが、正直、一番スマートに感じる。
*音声ガイドと解説ボランティアが併存する中での音声ガイドの優位点は待ち時間がないことだろう。