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3題

 そろそろエキシビションオブザイヤーの季節だな。少し遅いくらいか? 秋の特別展の大きいところをあらかた見た感じなので、そろそろリストアップを始めなければ。
 概況を語れば「白洲正子展」「會津八一展」のように誰かのフィルターを通して歴史を振り返ろうとする試み。白洲正子と近江の文化財。會津八一と奈良の仏像と相乗効果を十分に発揮できる内容にも思える。この流れで「岡本太郎と日本の伝統」的な展覧会はできるハズで、しかし、岡本太郎の作品群と日本の伝統を展示した場合、どちらも一級品が出ない、あるいは、展示数の限界から、どちらもおざなりなないようにもなりかねない。危惧する、内容の軽薄な「客寄せパンダ的な展示」の元凶にもなりかねない。
 と言いつつ「桃山展」「大津 国宝への旅」確かに展示内容を見れば、そのままのタイトルなのだが、タイトルのインパクトに欠ける展示というのも目に付いた。「どのみち観覧料だけではペイしないから観覧者動員数は二の次」というのもいただけない。
 と、たぶんこれだけ書いてしまえば、今年の特別展は総括してしまったのだと思う。そして、とりもなおさず、不景気とか仕分け的な元凶と、それに対する解決のヒントが隠されてるわけなんだわな、と外野はいいご身分で評論家でいられる。

春日井市中央公民館
特別展示
森浩一先生の足跡をたどる
 パネル展示。中央公民館は、はじめてだが知らないのはもったいない施設。
 森浩一文庫が併設されていて、森先生ファン古書ファンには垂ぜんの施設。
 森先生の頭の中へダイビングするような感覚。遺跡の報告書はもちろん。文献学、民俗学にとらわれることなく広く収集されている。文庫のセレクトの内容が、わざとそうしてあるのだろうが、入門者には入門者なりの読書、あるいは書籍案内になっている。気づいたところでは『ウェブ進化論』や『河原者ノススメ』なんかに注目した。
 古書としては六興版の『瓦と古代寺院』とか旧装の『神体山』なんかが注目。学生社の、あのシリーズは旧装でいくつか収められている。もう1つは2冊ある本。1冊は著作者寄贈。もう1冊は書評依頼の贈呈本と本の来歴も復元できるのが森先生の人柄なのかもしれない。

武豊町歴史民俗資料館
木造和船の歴史館1
-原始~近世前期の和船模型-
 スゴい! もともと常設展示に弁才船と菱垣廻船の模型が展示してあって、その作家さんが原始~近世前期の模型を新造されて、その展示。
 丸木船、埴輪の船、遣唐使船、絵巻物の船と見応え十分。
 こういう小さいけれど優れた展示を見つけると、すごくワクワクする。鋭意、図録作成中の旨。

杉本美術館(知多・美浜緑苑)
【続】杉本健吉が描いた東大寺
 2004年よりも前から「行ってみたい美術館」の1つではあった。なかなかいけなかった。やっと行けるまでに回復したのかもしれないとも思う。(全然、個人の主観だな)
 すごく雰囲気のいい街並みの中に、ひっそりとたたずむ美術館。美術館の裏が池になっていて、展示室から池と海が見える。みさきやマサシなんかも、ときどき疲れた時にやって来るんぢゃないのかな?
 話それた。奈良の空気感が画面からにじみ出てくる。コンテ画や雪の降る東大寺なんかが秀逸。
 一度は訪れておきたい美術館の1つ。

春日井市中央公民館
特別展示
森浩一先生の足跡をたどる
20101002~1205

武豊町歴史民俗資料館
木造和船の歴史館1
-原始~近世前期の和船模型-
20101017~1128

杉本美術館(知多・美浜緑苑)
【続】杉本健吉が描いた東大寺
特別企画展「自然と造形美」
20100916~1228