3題
奈良国立博物館
第63回 正倉院展
別にウチが多くを語る必要はないんだけどね。
初日だったからか例年に比べて、待ち時間が短かった。
12時のボランティア解説に10分遅れくらいで入って、華鬘以後の解説を聞く。音声ガイドは、ジュニア仕様を借りたが、大人向けと遜色ない内容の解説なのでは? ただ、正倉院展で35分の解説は長すぎる。フルで聴いても返却口で立ち聞きする時間が出る。
みんなそういう風にならないところを見ると、一部しか聴いてないか、悪く言えば、どっかで諦めてしまっていないか? それでは音声ガイドはもったいない。
個人的には解説ボランティアを有料にするかして、音声ガイド会社に仕切らせたらいいのでは? 正倉院展に限定してしまえば。
いかん! 出陳品の話をせねば。
60回で一巡のハズだが63回でも初出陳がある。
聖武の袈裟や蘭奢待も重要だが天武期からの伝来ではと思わせる御物も多い金銀鈿荘唐大刀や十二支八卦背円鏡なんか。柄香炉は聖徳太子の遺愛品とかでは?
大刀の飾り金具なんかが、高松塚の大刀に非常に近似したカタチで、聖武から50年ほど前の7世紀末までは十分に上げられる円鏡の四神も、よく言われることだろうが、キトラ、高松塚、薬師寺の台座と共通の意匠で、このような世界観が天武の意思により形成された可能性は十分、考えられよう。
ただ、天武期から天皇家に伝世したモノが、なぜ東大寺に献納されたのかは十分議論されなければならないことではないか? 聖武までは、それらの宝物が天皇を天皇たらしめるレガリアであったモノが、その意味が消失したのだろうか?
なら仏像館(奈良国立博物館・本館)
ピカ一の1点をあげれば、金剛寺の降三世明王。中央展示室から、展示室に入ると睨まれるの。しかも、で、デカい!
一般の降三世明王と異なり一面二臂像に作られ、中尊の大日如来、右脇侍の不動明王に釣り合うように瑟瑟座に座る。そのイコノグラフの幻惑が、さらに、この尊像の畏怖感を強調している。後背の火炎の造形もすばらしい。
東大寺ミュージアム
開館記念 特別展
奈良時代の東大寺
第I期〜第VI期に分けて展示替えをおこなうそう。
法華堂(三月堂)の改修にあわせて、中尊の不空羂索観音、脇侍の塑像の日光・月光菩薩が公開されている。
不空羂索観音は宝冠や後背など荘厳具は一切つけていない珍しい姿。法華堂では遠目になるがミュージアムでは間近にみられる。この機会に1度は訪れておきたい。
ただ注意したいのは「東大寺の考古学」のセクションは、十分、それより前を楽しんでから、見なければならない。あんなトラップが仕掛けられているとは・・・
音声ガイドも内容豊富。個人的にはトラック3を聞き終わるまでに、東大寺の考古学まで来てしまった。15トラックあるので、不空羂索観音の前のベンチに座ってずっと聞いていた。隠しトラックというか補助説明もあって楽しい。端末も新しくカラー液晶を搭載していて、展示替えの案内や、用語を図示して説明しているなど、IT的にも興味を引く。
奈良国立博物館
特別展 第63回
正倉院展
2011.1029〜1114
なら仏像館(奈良国立博物館・本館)
東大寺ミュージアム
開館記念 特別展
奈良時代の東大寺
2011.1010〜2012.0401
(第I期〜第VI期に分けて展示替え)