« 2題 | メイン | 3題 »

榊莫山展

三重県立美術館
榊莫山展
 以前、伊賀に出身の人が「榊莫山さんは当たり前にすごい人で、全国的にどの程度、スゴいのか判らない」という話をされていて、そういうものかと思った。
 榊莫山のような生き様の人が、スゴいのかスゴくないのかは、意見の分かれるところで、例えば荻須高徳のように、パリを第2の故郷にして骨を埋めるような生き方、故郷を離れて大成して、その状態をキープしている人を高く評価するのは、どの地域も意外に同じなのではないだろうか?
 ところが榊莫山の場合、中央での大成のあと、故郷の伊賀での閑居の生活が長く続いている人を、どう評価するのかは、地域思想的な地域の歴史と文化的背景が強く影響をしている。
「あの人は中央から負けて帰ってきた」とヒキコモリあつかいする地域も少なくない。

 個人的な印象的背景として、「よかいち」というお酒のCMや近鉄のデラックスシートのCM、土という字を、独特の筆致で書いているドキュメンタリーなど印象深い人物が榊莫山という人。
 作風は王羲之調というのか楷書のスゴいのを12歳とか、本当に若い時に極めていて、あとはダサウマ的な「ひゃ〜〜ん」とした作風。
 書というものを、市民に広めた人を失うことは、大きく悔やまれるが、それを契機に作品の保存・研究に着手され、多くの人々の目に触れられる機会は貴重。
 何も前知識のなくても、しっかり見られるが、寒山拾得、松尾芭蕉など、前知識があると、ホントにエロい展示。

三重県立美術館
受贈記念
榊莫山展
2012.0407〜0520