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2題

安土城考古博物館
湖(うみ)を見つめた王
−継体大王と琵琶湖−
 個人的には副題が悪い意味で足を引っ張っているでは? という展示。
 湖を見つめた王は在地の首長でもいいはずで、実際、水運や漁労の利権は、そのような在地の首長が握っていたのではないだろうか?
 そう考えた時に、滋賀県内の古墳のレビューとクロニクルは貴重で、そのしばりとして時代を古墳時代中期後半から後期中頃までに限定してという意味で継体大王の名前が登場するに過ぎない。
 展示自体は、滋賀県内の古墳のレビューとクロニクル、若狭の古墳、尾張系埴輪、水運としての船の説明と充実した内容。
 特に注目したいのは、埴輪棺として使用されたとされる越前塚遺跡の円筒埴輪棺。東海地域で考えたら、この法量の埴輪は110m前後以上の盟主墓に使用されるのではないだろうか?
 埴輪棺という特殊な用途であることはあれ、この法量の埴輪を作れるという技術・情報は継体大王という個人名を出すことなく、滋賀県内の首長がなんらかの盟主の支配の中で水運・交易あるいは漁労の利権を安堵されていたことを感じさせる。
 逆に言って、この時代の滋賀県内の水稲の生産力って、どの程度なんだろう? 電車での道すがら、河岸段丘というのか、水田のフラットな面から川の水面まで、高さがあるんだよね。農閑期で水位が低いだけなのかもしれないけど、水田より畑作の方がむいてるようにも思うんだよね。
 まあ、神話的といわれかねないが歴史書が記すように継体大王の擁立には、滋賀や福井の豪族の協調が欠くべからざる存在であったのは特筆を要しない事実であったであろうし、滋賀県内の埴輪を見ても、多彩な地域性が見て取れるという、それが遺跡を中心にして間近に見られるのは貴重な体験。

大津市歴史博物館
ミニ企画展
大津絵大図解
 常設展示内のコーナー展示だが、大津絵の主要な画題を詳細なキャプションによって説明している。
 大津絵はヘタウマ系の江戸時代にブームを起こした大津を中心に売られた絵画。低価格であったことからか庶民の土産物として定着していく。
「鬼念仏」という赤鬼がお腹に鉦(しょう)をたずさえた画題が有名なのではないだろうか?
 大津絵の入門として整った展示。

安土城考古博物館
春季特別展
湖(うみ)を見つめた王
−継体大王と琵琶湖−
2012.0421〜0617

大津市歴史博物館
ミニ企画展
大津絵大図解
2012.0417〜0527