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2題

石水博物館
曾我蕭白と伊勢の近世美術
半泥子の旅
−スケッチと思い出の品−
 新博物館になって初めて訪れた。
 阿漕駅からだと広い通りに歩道がないので、バスでの来訪がオススメか? 鉄道は1時間に1本程度、バスは2本ほど。三重県立美術館とかけもちなら、時間を調べて、こちらに先に訪れたい。
 閑静な住宅街と里山の結節地点になる静ひつな空間。
 旧博物館の津新町の駅から松菱までのガヤっとした街並みも借景として、すばらしいものだったけど、半泥子の作陶の〈現場〉、千歳文庫の残る、ゆかりの場所にしっかりと博物館として建てられたことには意味がある。
 老朽化や耐震の関係もあるのかもしれないが、千歳文庫を間近で見られないのは惜しまれる。
 展示は、1階が蕭白関連、2階が半泥子の作品と旅日記。
 まあ曾我蕭白は、あの独特の作風が、ぶっちゃけ好きかどうかの問題なので、博物館・美術館を訪れる前に、何らかのカタチで作風を確認して欲しい。
 蕭白の作風が好きなら、六曲一双の屏風は一見の価値あり。山水、トラ、タカ、ツル、寒山・拾得と蕭白の代表的な画題が惜しげもなく展開している。
 三重県立美術館にも蕭白の屏風は展示されているが、これだけバラエティーのある画題を取り合わせとしてのバランスもよく配置している屏風は他にはない。
 1階の展示は全21点、蕭白5点のこぢんまりした展示だが、館蔵や三重県立美術館の同時代作家の作品、パラミタミュージアムの萬古焼きと蕭白の通った時代の伊勢の文化的水準を概観できる内容。

 2階は欲袋が展示されている。片面が半泥子作の茶道具を中心に、もう片面を半泥子の旅をテーマに旅日記とパステル画、出版された半泥子の著作など。
 2階展示室、奥に山里茶席の復元。
 川喜田半泥子は百五銀行の元頭取。北大路魯山人や荒川豊蔵と同時代の人。数寄者として有名で、自ら作陶も行っている。石水博物館は半泥子の作った千歳山窯の近傍に立地。

三重県立美術館
開館30周年記念
蕭白ショック!!
曾我蕭白と京の画家たち
 会期中、前期・中期・後期と展示替えアリ。
 1階の企画展示室が蕭白、2階の大部分を使って蕭白前史と京の画家たち。2階1室と県民ギャラリーが常設に当てられている。
 目玉は、なんといっても旧永島家のふすま絵群だろう。とくに竹林七賢図。1種のだまし絵的な手法なのだろうが、七賢人が飛び出して見える。
 朝田寺の唐獅子図はあんなに大幅なのに恐くない。なんかネコが威嚇しているような感じ。
 グロテスクなまでに誇張された人物の表情に、アンニュイな仕草。
 そんな人物を受けたようなユーモラスな禽獣もあれば、
 野生の本能を感じされるタカのどう猛な眼力。
 手練手管を尽くしてもいかんともしがたい、あの西王母も見てみたい。

石水博物館
曾我蕭白と伊勢の近世美術
半泥子の旅
−スケッチと思い出の品−
2012.0601〜0716

三重県立美術館
開館30周年記念
蕭白ショック!!
曾我蕭白と京の画家たち
2012.0602〜0708