3題(3)
高浜市やきものの里 かわら美術館
愛と正義と勇気をうたう
やなせたかしの世界展
1階がアンパンマンで、2階がアンパンマン意外のやなせたかし氏の仕事展。
個人的には2階から見て欲しい。やなせ氏というと『アンパンマン』はもちろん『詩とメルヘン』の編集や「手のひらを太陽に」の作詞、震災の時に「アンパンマンのマーチ」への大量のリクエストがあったこと、そのことに感動した、やなせ氏が「奇跡の一本松」という曲を作詞・作曲したことなど、現在でも現役な影響力があり、やなせ氏の絵本作品には、にじみ出るメランコリーがあったり、とてつもなくがらんどうな虚無感が伴っていたり、もちろんユーモアもあるのだが、どうしても悲劇を高く評価してしまうのは、僕の癖(へき)だ。
2階の『やさしいライオン』の原画、読んでて泣いてしまった。ライオンが「どう猛」であると見られる色眼鏡と〈母性〉と〈母性を求めるウブな子供心〉が、もう、ヒリヒリして何とも言えない。1種、70年代のニヒリズム的な世相の産物ではあるのだろうが、『やさしいライオン』1つとっても、その時、その場所にやなせ氏が存在したと言うことの証であると同時に、その作品に共感した僕たちは、どこかで義兄弟的なのだ。
1階は日テレ系でアニメーションにもなったあの世界観の展示。館としては木曜の午前中に限定しているようだが、お母さんやおばあちゃんが、子供に読み聞かせをしてあげるのがオススメ。僕が行った時も読み聞かせしてる人がいたよ、ほほえましかった。
どうしても美術館というと「お静かに!」というイメーヂがつきまとうが、笑ったり、突っ込んだりしながらボソボソ言いながら見るのが好き。美術館にあんまり慣れていない人の方が、かえって、そういう行為に怪訝(けげん)にしたりする、そういうものだったりする。
図録がないのだが、あの分量を図録にすると、逆に高価な画集的なモノになってしまいかねないので、グッズが充実しているので、お気に入りのグッズや絵はがきなどを思い出にして欲しい。
半田市立博物館
企画展
知多の古窯
12世紀中頃からになるのか? 知多半島の古窯が操業しだすのが。
ちょうど藤原道長から平清盛の時代の焼き物が、めじろおし。
清盛時代の窯業に興味があれば田原市博物館の「渥美古窯展」と2つ併せてみると、よりイメーヂが深まるのではないだろうか?
時代劇の酒器の器種がイメーヂによってどんだけ、ねじ曲げられているのかが、よく判る。
おしむらくは図録がないのだが『愛知県史 別編 窯業3 中世・近世・常滑系』
http://www.pref.aichi.jp/0000045461.html
が刊行されているのか。。。
半田空の科学館
プラネタリウム 一般投影
鉄腕アトムと探ろう!
~土星をまわる神秘の星タイタン~
今、西の空に土星が出ているらしいって土星は一年中みれるのか?
土星探査機の成果報告になるのか? 土星とその惑星であるタイタンの基礎知識が、アトムを通してすんなりと入ってくる。逆に、アトムやお茶の水博士が子供にすんなりと理解されるのかが不安なくらい。
個人的には、こういう館と名古屋市科学館の差別化点ってなんなのか? さっぱり判らない。
名古屋市科学館はあくまで科学館のメジアンであって、東京大学ではないと言うのが個人的な感想。
確かに名古屋市科学館の竜巻ラボはでかくて圧倒されるが、類似の展示が空の科学館にもあって、空の科学館のもので規模的にも十分なのでは思う。それ以上に竜巻被害の啓発やメカニズム、竜巻ラボを使って、どうやると竜巻のメカニズムを調べる実験が出来るのか? 大人の側の前勉強の方が重要なはずで、「名古屋市科学館が1等なのだから、1等を見せておけば間違いがない」という大人のステレオタイプこそが、1番、子供を堕落させている!
また、プラネタリウムにしても、名古屋市科学館とこういう館の最大の違いは、制作会社が作成したコンテンツを見せるかどうか? になってくるのではないだろうか?
個人的には名古屋市科学館の〈1等性〉だけが一人歩きして「名古屋市科学館のプラネタリウムなら間違いがない!」と無分別に考えているだと思うのだが、
中には制作会社のコンテンツを低く見る向きもあるのかもしれない。しかし、テレビのような商業性の高いコンテンツを見て、商業音楽を聴いて、普段、生活しているのに、こと教育にだけ「商材として流通するコンテンツ」を嫌うのは、ただのご都合主義なのでは?
どうしても教育性の高いコンテンツではエンターテイメント性が両立しにくい(エンターテイメント性をワルウケと誤解して、教育や先端技術に存在する、先天的な知的好奇心を刺激できない)作品が、存在しないとは言わないが、館のシステムと利用可能な商材のマッチングは学芸活動の醍醐味の1つで、もしプラネタリウムに興味があれば、学芸活動への賛同の意味でも定期的にホームページをチェックして、足を運んで欲しい。名古屋市科学館以外に。
逆に名古屋市科学館のプラネタリウムは客足が伸び悩んだ時に、起爆剤として現在の上映スタイルを採用したはずで、オープニングで混むのは必定なのだから、商材を流した方が人数調整になったのではないか? 開館して、すぐの時に文化・スポーツ族の政治家さんが、喜び勇んで「実地見学のために見てきた!」なんて話しててさ、オレまだ見てないんだぜ、ワイルドだろぉ〜! ぢゃあないや、混んでるのに並びたくないのが、自分が苦痛に耐えられないのと、自分が見ない分だけ誰かが見れるだろうという二重の意味なの。
高浜市やきものの里 かわら美術館
愛と正義と勇気をうたう
やなせたかしの世界展
2012.0714〜0909
半田市立博物館
企画展
知多の古窯
2012.0714〜0902
半田空の科学館
プラネタリウム 一般投影
鉄腕アトムと探ろう!
~土星をまわる神秘の星タイタン~
2012.0616〜1014