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挑戦状な2題(6)

京都国立博物館
古事記1300年
出雲大社大遷宮 大出雲展
 古事記1300年の冠に違わず、古事記と古事記の享受資料から風土記、風土記に対する研究と文献資料に富んでいる。熱心な解読家が多く訪れているようでなかなか本文にたどりつけなかったので、目録などを確認してお目当ての文献があればどうぞ。
 考古遺物も気をつけて見ないと関連資料も多く、東之宮の合子、大場磐雄の『まつり』に出てくる奈良・三輪山の祭祀遺物など、俺得な、それこそ〈まつり〉現象がおこる空間。
 出雲の文化財では宇豆柱や鰹木はもちろん、摩多羅神や牛頭天王など神像も注目。アシナヅチぢゃないや、老翁神が出雲タイプとして注目できそう。

 んで、帰りのバスなんだけど、混んでるのに修学旅行生がゆずりゃしない! 10年前くらいの感覚で「あと2人くらい入れるな」と思って乗り込んでも、うんともすんとも言わない。それでも、先頭付近で座席の間に身を乗り出してプレステやってるヤツはいるし、涼しい顔してスマホいぢってるヤツもいるし(激怒!)
 なんていとう公共の場におけるプライベート・スペースの問題は文化的基盤の相違に起因するんだけど、超満員のバスの中でスマホできるって、どんな田舎モンなんだよ! って、1本待てば多分、がら空きのバスだし、1台の中に修学旅行生が5組かそれ以上いたんだから、イレギュラーな状態なんだろうな。
 もっと清水とか平安神宮でなく、東福寺や醍醐寺へ行け!

奈良国立博物館
頼朝と重源
−東大寺再興を支えた鎌倉と奈良の絆−
 すげー! まさに「かまくらクライシス」をテーマにした展示。東館と西館の1室。今年は西館・平常展押しなんだな。
 なんていうの国立博物館で、この内容で展示をされてしまうとデジタル・ミュージアムの限界を、まざまざと提示されてしまう。しかし、デジタル・ミュージアム限界に挑戦していないのも確かだ。
 個人的に『吾妻鏡』の西行が好き。なんか『カリオストロの城』のルパン三世みたいに、どこか紳士的で、紳士的であるが故にデカダンが強調されてしまう、はたして奥州の金を東大寺に持っていったのは頼朝か? 西行か? みたいな?
 展示は、南都や重源関連の遺宝はもちろん、頼朝の肖像画が3つ。個人的に神護寺に「文覚上人像」と「僧形八幡神像」があるのに、なんで「源頼朝像」でないのかよく判らない。肖像は礼拝対象であると同時に、寺院の縁起を語るためのツールでもあり、足利時代に有力な壇越がついたとしても、中興を語る縁起としての肖像画として「源頼朝像」がないのは不可思議で仕方がない。近代に焼失したとかなら別だが、前近代に、その補強もなく別の壇越像は存在しないのではないだろうか?
 あと、八幡神のコーナーが充実。有名な鶴岡の「八幡宮」の扁額が「八幡宮寺」の扁額だったとは、見落としていた。

京都国立博物館
特別展覧会 古事記1300年
出雲大社大遷宮 大出雲展
2012.0728〜0909

奈良国立博物館
特別展
頼朝と重源
−東大寺再興を支えた鎌倉と奈良の絆−
2012.0721〜0917