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3題(5)

奈良国立博物館
正倉院展
 いわずもがなに、当たり前にスゴい展示なので、ウチごときがレコメンドする必要もないのだが。。。
 中吊りやポスターにあるように18年ぶりに瑠璃杯(青いワイングラス)が目玉展示になるのか? 間近で見るためには数十分ならぶ必要がある。個人的には青ガラスもさることながら、受座と名付けられた当初の杯の脚に注目したい。解説では7世紀につくられ受座は東アジアで接合されたという説を紹介しているが、やはり5世紀末〜6世紀初頭に白瑠璃碗と同様に西域で作られたものが、時期を経ずにダイレクトに伝来しているのではないだろうか? と考えたい。
 パルメットというかパーム状の意匠は現在でもドバイのような日本から見た〈西域〉で使われている。
 あとは双六盤などの遊興具が特集されている。ガラスや玉を使用した双六石は小さい物ながら風格を兼ね備えている。サイコロと双六筒も興味深い(どうしても平清盛と後白河院の競争をイメーヂしてしまうのだが・・・)
 東館の後半が双六、西館の1室が瑠璃杯、西館の後半部分(北側)は例年通り、正倉院文書と聖語蔵の展示だが、関連して書見台や献物箱、球状の香炉など、例年より文書や経巻が少ない感じがした。
「称徳天皇勅願経」は、いわゆる「中聖武」というのか、奈良時代のカッチリした書体に太めの筆致と、まさに達筆で経文の意味とは関係なしに、古筆的な鑑賞には、うってつけのもの。
 行政文書としては、なんと言っても目玉は美濃国の戸籍。こっちは古文書が読めないと、いかんともしがたい。だが、多くの人が食い入るように見つめ、解読しているようだった。
 正倉院文書の類には、いくらか釈文のキャプションがついているので、時間と体力に合わせて、少しでもチャレンジしてみることをオススメしたい。釈文があれば意外に読めたりするもの。
 いかん、西館の南側が後になってしまった! 二彩の瓶は、たぶん大きい部類に入るんだと思う。なかなか、このサイズの瓶は、どんな窯業の生産地でもなかなか見れないのでは?(水甕なんかは、もっと大きい物があるんだけど・・・)
 ガラス類が壮観! どうなんだろう? 飛鳥池のような遺跡で天武朝に大量生産された物が伝世しているのか? 天平時代にも使うぶんだけが生産されているのか? 原料か? とされる破片もあるので、いろいろ検討しないといけないな。
 ガラスのモノサシ・ストラップは超カワイい。これはグッズになるよね。と思ったが、下で見てみると、見落としたのかもしれないが、なかった気が、、、
(名称は、あえて正倉院っぽい正式名称は避けて、イメーヂしやすい(図録にも、そういう系の表記があり)名称に、ほぼしてます)

葛城市歴史博物館
特別展
忍海と葛城
−渡来人の歩んだ道−
 大谷古墳の杏葉って、ホントに5世紀後半なの? 個人的には、ぱっと見、6世紀の第4四半期くらいみたいに見えるんだけど、埋葬施設と齟齬があるのかな? 馬冑にしても、騎馬文化が流入して半世紀くらいの時期に存在するものなのだろうか?
 大谷古墳の遺物と初期須恵器を並べられると、もう、思考停止で芝塚2号墳の馬具が5世紀の中頃のものなのでは?
 芝塚と大谷古墳を比べると、もう似て非なるモノで材質も芝塚では鏡板や杏葉のような強度の必要のないところまで鉄のような腐食性の高い材質で、大谷古墳はハミのような強度の必要なところは鉄材だが、鏡板や杏葉に腐食の痕跡がない。これは保存処理上の時代差による戦略の違いだけに起因するのだろうか?
 まあ、形式差は時期幅や前後関係を示さないので、芝塚のような馬具も大谷古墳のような杏葉・鏡板も共存していたといわれれば、それまでだが、個人的に、そこのところが消化不良で、ストーリーに入っていけなかった。
 まあ、葛城はじめてなので、そのことでストーリーが入らなかっただけなのかもしれないけど。

祖父江町郷土資料館
企画展
「尾張の書画家たち」展
 美人図なんか県立博物館で展示されててもおかしくないような作品。
 個人的には祖父江町郷土資料館の企画展としては必ずしもふさわしくない展示内容だと思う。個人的にはハコにはハコごとの向き不向きがあって、こういう展示は荻須美術館の特別展示室で十分なのではないだろうか?
 現在は複製技術も進歩して、というかカラーコピーでも(作品には相当な負担になるのだが)発色の色味だけ合わせれば十分に鑑賞に堪えうるのでは?
 釈文やキャプション、図録を充実させ、そのようなモノを展示した方が、祖父江町郷土資料館のハコの性質に合っている気がする。目録がペラ1で、図録(解説書)なしなのは残念。
 レコメンドしようにも、それを躊躇させるような因子のはたらく展示は個人的に好きではない。

奈良国立博物館
特別展 第64回
正倉院展
2012.1027〜1112
http://www.yomiuri.co.jp/shosoin/
http://m.yomiuri.co.jp/k/syousouin2010

葛城市歴史博物館
特別展
忍海と葛城
−渡来人の歩んだ道−
2012.0929〜1125

祖父江町郷土資料館
企画展
「尾張の書画家たち」展
2012.1027〜1104
午前9時~午後4時30分