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3題(3)

高浜市やきものの里 かわら美術館
−東日本大震災復興祈念−
みちのくの瓦 東北と三州をつなぐもの
 チケットの販売は奥のミュージアムショップになるのだが、ひとまず入り口のパネル展示を1番に見るのをオススメ。
 最近では情報を探して見ないといけないが、311で何があったのか? その規模からの復興の困難など考えさせられる。
 展示は3階と2階を使った大規模な展示。福島の白鳳〜平安時代の瓦、多賀城系の瓦群(以上3階、常設展は瓦曼荼羅と3階エントランスに少し)、平泉の藤原3代の都ぶりの瓦、仙台城の瓦、会津の近世瓦、江戸の東北関連の屋敷の瓦、パネルと映像展示で岡倉天心の六角堂の復元事業と、駆け足と思えるほど盛りだくさんだが、瓦をテーマに〈東北〉という現象をかっちりととえられている。
 学術的に問題に思うのは、多賀城系の瓦と福島の飛雲文〜宝相華文の瓦の時間軸的な関係。あるいは、藤原仲麻呂の時代に比較的ダイレクトに流入していて時間的な差異が、それほどないのではないだろうか?
 まあ、軒平瓦が有顎のものに鋸歯文を配置して、それが、だんだんと無顎化していくのが多賀城系に対して、宝相華文を描くモノは無顎と言うより、平瓦に近い扁平な瓦なので、前後関係は決まる(多賀城系の方が古い)のだろうが、それほど時間的距離がなかったのではないだろうか?
(ちょうどアテルイの前夜からアテルイの時期に当たるのか?)
 あと注目すべきは福島の瓦に新羅系になるのか? 有蕊弁(ゆうずいべん)というのか? 複弁の子葉というのか? 花弁の中の2つの膨らみをオタマジャクシ状に表現する瓦群は、東北の造瓦技術が大和政権からの単層的な流入ではなく、亡命やお雇い外国人的な技術者集団によってもなされていたことをうかがわせる。(この傾向は東国の全体的に広がっていて素弁の多用や鎬をもつ素弁を指向するなど、通奏低音的に広がっている)
 311の被災地という観点だけでなく、文化財のある土地であること、観光地であることも今一度、見なおしたい。プライスコレクションが巡回するのは喜ばしいが、打ちひしがれることなく地元の文化財を再発見するような〈運動〉につながるといいな。

豊田市郷土資料館
特別展
明治の傑人 岸田吟香
〜日本で初めてがいっぱい! 目薬・新聞・和英辞書〜
 一番カンタンに言ってしまうと、岸田劉生の父親になるのか? 麗子像の「麗子」の祖父と言った方が、とおりがいいのか?
 僕が岸田吟香に興味を持ったのは『高橋由一展』で由一が岸田吟香のサロンの中で活躍したとされるパネルがあったことによる。
 吟香は美作(岡山県?)の出身だが、挙母藩(現・豊田市)の飛地であったことから、藩校の崇化館(あのギリシャ彫刻の会館の前身)で講義をしたこともあるという。
 業績は、まさにマルチというか、多用で業績や交友関係は、是非、展覧会を見て欲しい。
 豊田市郷土資料館は、こういう、ちょっと勉強すると興味がわいてくる近代の人物を発掘してくるのが上手! 豊田にゆかりの偉人が多いだけなのか?

名古屋市博物館
特別展
驚きの博物館コレクション
−時を超え世界を駆ける好奇心−
 明治大学博物館、南山大学人類学博物館と名古屋市博物館の館蔵品を展示している。展示室は1階の1室のみ。
 明治大学博物館といえば刑法関係の資料と岩宿遺跡の資料と言えば1級というか、全国的にも、よく知られた資料だろう。刑法関係の資料は、まあ展示室が限られているのでダイジェストだが、名古屋で見られるのは貴重。
 南山大学人類学博物館は創設期の民族調査資料からフランスを中心としてヨーロッパの旧石器、関東や東海地域の調査資料。
 まあ、名古屋市博物は2つの博物館の資料を補強するような資料と『猿猴庵』関連の本と復元品の展示。
 毎週末くらいにギャラリートークが用意されているので、それを目当てに時間を宛てていくといいのかもしれない。

高浜市やきものの里 かわら美術館
−東日本大震災復興祈念−
みちのくの瓦 東北と三州をつなぐもの
2012.0202〜0317

豊田市郷土資料館
特別展
明治の傑人 岸田吟香
〜日本で初めてがいっぱい! 目薬・新聞・和英辞書〜
2013.0202〜0310

名古屋市博物館
特別展
驚きの博物館コレクション
−時を超え世界を駆ける好奇心−
2013.0202〜0317